「繰り下がり」を教える前に 0810

間違い直し
この記事は約4分で読めます。

夏休みに入って、もう3週間が過ぎ、残り2週間と少しです。
ぶながやっ子ハウスの子どもたちは、毎朝、学校の宿題や課題に取り組んでいます。

1年生たちが引き算を習い始めるこの時期、yamaにはとても気になっていることがあります。

繰り下がりの前に教えておきたいこと

ほとんどの子どもたちが足し算の繰り上がりはできるようになりますが、引き算の繰り下がりでひっかかってしまう子どもは少なくありません。そんな子どもたちは、算数が苦手になってしまうおそれが大きい子どもたちです。そんな子どもたちを見ていつもyamaが感じていることがあります。

 

足し算と引き算との違い、繰り上がりと繰り下がりの違い

足し算はいつでも計算ができますし、足される数(もとの数)と足す数を入れ替えても答えは同じです。言い換えれば、足し算は自由度が高い計算なのです。ところが、引き算はそうではありません。引き算はいつでも計算できるとは限りませんし、引かれる数(もとの数)と引く数を入れ替えれば引くことができなくなってしまいます。つまり、引き算は制約が多い計算なのです。制約が多い(小さな数から大きな数を引くことができない)からこそ、繰り下がりが必要なのです。

中学で正負の数を学べばできるようになります。

足し算の繰り上がりは、計算した結果を見てから繰り上がりが必要かどうか判断すればよいのですが、引き算は計算する前に繰り上がりが必要かどうかを判断しなければなりません。繰り下がりが苦手な子どもたちの多くは、ここで躓いてしまうのです。

実体験の不足や大人の過干渉などのために、近頃、自分で考える事が苦手な子どもたちが増えてきた様に感じています。以前の子どもたちは、足し算や引き算を習ったときに、自分の実体験と重ね合わせながら理解していた、と思います。近頃の子どもたちは、生活や遊びの中で数を数えたり、何人かにモノを分けたり配ったりする体験が減っています。そんな子どもたちにとって、足し算や引き算の仕組みや違いを理解することはとても難しいことです。学校の授業は、一人一人の子どもたちが充分に理解するまで待ってはくれません。理解したり納得したりする前に授業は進んでしまいます。そんなことを繰り返しているうちに、理解しようとせずに丸覚えでその場を乗り切ってしまおうとする子どもたちが出てきます。その方が精神的にラクだし早いからです。算数に限らず、国語や他の問題を解くときにも、考えて解くのではなく、以前に習ったことから答えを探し出そうとするようになってしまいます。そんな子どもたちが、計算する前に繰り下がりが必要かどうかの判断ができなくなってしまうのも当然なのです。
全てがそうだとは言えませんが、そんな理由で繰り下がりが苦手になってしまう子どもたちがたくさんいるのです。それは、子どもたちの能力が不足していたり低かったりするわけでは、けしてありません。

繰り下がりの前に教えておきたいこと

「引き算には計算できないことがある」、「小さな数から大きな数を引いてはいけない」
様々な理由から、そんな当たり前のことを知らない、気づいていない子どもたちがたくさんいます。そんな子どもたちは繰り下がりの必要性を理解することができません。引かれる数(もとの数)と引く数を自分が好きなように入れ替えて計算すればいいのですから、繰り下がりしなくても答えを出すことができてしまいます。「なぜ繰り下がりしなければいけないか」、「どんなときに繰り下がりをすればいいのか」がわからないまま、引き算の練習をしているのです。

引き算を習い始めた頃、まだ繰り下がりを習う前に、「引き算には計算できないことがある」、「小さな数から大きな数を引いてはいけない」などを教えておくべきだ、とyamaは考えています。一度ついてしまった癖を矯正するには時間もかかりますし、多くの労力も必要です。であるならば、変な癖がつく前に教えておいてやった方が、教えられる子どもにも教える大人にも、ずっとラクなのです。

ぶながやっ子ハウスのプリント

ぶながやっ子ハウスでは、学習時間に、学校の宿題や課題以外のプリントを子どもたちに練習させることがあります。その時その時、子どもたち一人一人に必要なこと、教えておいてやった方が良さそうなこと、そんなことをプリントにしています。

hikizan

これはぶながやっ子ハウスで実際に使っているプリントです。繰り下がりの学習の時に困らないように、敢えて、引くことができない引き算の問題を出しています。③の「3-8」や、⑬の「2-3」等の問題がテキストやプリントで出題されることは、まず、ないでしょう。「『答えが出せない』問題=『間違った問題』」と考えてしまうからだと思います。しかし、そのせいで、子どもたちは大切なことに気づかないまま、成長してしまうこともあるのです。「時には子どもたちに間違ったことを教えておいてやる必要がある」というよい例だと思います。「正しいこと」だけを教え込んでいると、子どもたちは「間違い」に気づかずに成長してしまうこともあるのではないでしょうか。

 

タイトルとURLをコピーしました