子どもの心に「寄り添う」ということ
長年、子どもと付き合う仕事をしていると、色々と考えさせられることがあります。
「子どもの心に『寄り添う』」という言葉も、そんな言葉の一つです。
下のイラストを見てください。
本当に子どもの心に寄り添っているのはどちらだと思われるでしょうか。
本来の意味で子どもの心に寄り添っているのは右側のスタッフだ、とyamaは考えています。
子どもが泣いているのに慰めもしないでほったらかして何をしているんだ、と考えられる方もいらっしゃるでしょう。しかし、ここでいくつか考えてほしいことがあります。
なぜ、慰めなければならないのでしょう。
子どもにだって一人で泣きたいときだってあるでしょうし、かまってほしくないときだってあるでしょう。もちろん、かまってほしくて泣いているときだってあるでしょう。しかし、泣いている子どもは、必ず慰めて泣きやませなくてはならないのではありません。子どもにだって自分の気持ちをコントロールすることもできるのです。一所懸命にコントロールしようとしているときには、一人で頑張らせてやった方が良いのです。子どもの自立を願うのなら、子どもが泣いているからと言って必ず慰めてやらなければならないわけではありません。自分一人で頑張っているのに不用意に手出し口出ししてしまうと、その子の成長や自立を阻害してしまいかねません。時には黙って傍にいて、気持ちを共有してやるだけで良いときもあるのです。
それでは、慰めが必要なのはどんなときで、必要ないのはどんなときなのでしょう。
それは一人一人、その時々によって違います。安易には判断できません。それを判断するには、子どもの心により添ってやるしかありません。子どもの今の気持ちを尊重しながら、子どもをよく観てやってください。今、どんな気持ちなのか、何を考えているのか、考えて受け取ってやってください。一度や二度、やってみただけでは絶対にわかりません。ですから、普段から子どもをよく観てその心に寄り添う訓練をしておかなければなりません。
子どもの気持ちが少しでも想像できたら、子どもの気持ちを共有してやってみてください。子どもと同じ表情や仕草をしてみるのもよい方法だと思います。
寄り添うだけでは、何も解決しません。
気をつけてほしいことがありま心により添っただけでは何も解決はしないのです。寄り添うことで、子どもが落ち着いたり、安心したりすることはあります。しかし、それだけでは、泣き出した原因や理由は何も解決していません。
子どもの心に寄り添うのは、今の子どもの気持ちをよく理解するためです。そして、さらにその子にとって、今、何が必要かを見極めるためです。子どもの心に寄り添ってみて、その子どもにとって必要なことを見つけたらすぐに行動に移すべきです。
いつでも子どもの心に寄り添ってやってください。
心に寄り添ってやるのは、子どもが泣いているときだけではありません。できることならいつでも、朝から晩まで子どもの心に寄り添ってやって欲しいと思います。例えば、子どもが宿題を終わらせた時や、子どもがやってはいけないことをして気まずそうにしている時にも、子どもの心に寄り添ってやってください。
子どもが宿題を終わらせたからと言って、何も考えずに褒めてやったのでは逆効果になることがあります。量が少なかったり簡単な問題だったりして苦労もせずに終わらせたのに、褒めすぎてしまったのでは逆効果になりかねません。反対に量が多かったり問題が難しかったりして頑張ったのに追終わらせられなかったのなら、褒めてやった方が良いでしょう。
同じ様に、やってはいけないことをしたからといって、安易に叱ることもできません。(けして、叱ってはいけない、わけではありません。叱ってやることも親子にとって大切なコミュニケーションなのですから。)一人で充分に考えて、反省しているなら叱ってやるまでもありません。しかし、子どもには叱ってほしいときもあるのです。叱ってもらうことで、親との関係性を確かめたいときもあるのです。そんな時には叱ってやるべきなのです。
褒めるにしても褒めないにしても、叱るにしても叱らないにしても、そのことが子どもの一生に与える影響はとても大きいものです。子どもの気持ちにより添うことなく、安易に判断するべきではないと思います。