算数好きの子どもにするには

yamaの独り言
この記事は約7分で読めます。

子どもを算数好きにすることは難しくありません

算数が得意で算数が好きな子どもを育てることは、実はとても簡単なことなのです。幼稚園のあいだに1から100まですらすらと数を数えられるように練習させるだけです。子どもたちは、それだけで算数が好きになれるのです。
2年生以上の算数が苦手な子どもを、算数好きにするのはとても大変です。高学年になればなるほど、子どもを算数好きにすることは難しくなります。しかし、小学校に上がる前に、遊びながら数を数える練習をしておきさえすれば、あとはほとんど勝手に、子どもたち自身でどんどん算数が好きになってくれるのです。

大切なのは数の概念

yamaはこれまでにたくさんの子どもたちを見てきました。算数が得意な子もいれば、苦手な子もいました。算数が得意な子どもたちはほとんどみんな、数の概念(数の序数性や基数性など)をしっかりと身につけていました。それにたいして算数が得意でない子どもたちは間違いなくみんな、数の概念が身についていませんでした。中には、「14」を「じゅうよん」と読むことはできるのに「1+4」の答えが「5」なのか「14」なのか、よくわかっていない子どももいましたし、小学二年生になっても100まで数を数えられない子どももいました。

yamaはゆとり教育が生み出した様々な弊害はいまだ続いていると考えていますが、その中でも特に影響が大きいのは、授業数の削減だと考えています。今でもほとんどの小学校で算数セットを購入させられますが、ほぼ全ての学校で、授業の中で算数セットを使うことはありません。授業時間が削減されてしまったからです。大昔は、算数セットを使って実際に数を数えたりする練習を授業の中で行われていましたが、授業時間が削減されてからは、のんびりとそんな授業をすることもできなくなってしまいました。現状、学校の授業だけで子どもたちに数の概念を身につけさせることは不可能なのです。

例えば、1~20まで満足に数えることができない子どもに、繰り上がりの足し算を教えることはできます。しかし、それは九九を覚えるのと同じで足し算の仕組みや繰り上がり、位の数など、を理解しないままに結果だけを覚えているに過ぎません。そんな子どもたちのほとんどが、学年が進んで大きな数や四捨五入、小数や分数などを習うときに躓いてしまいます。それほど、数の概念は大切なのです。

数の概念を育てる

算数好きな子どもに育てたければ、足し算や引き算を教える前に、早いうちから数の概念を持たせてやることが一番です。数の概念が充分身についていない子どもに足し算や引き算などの計算を教えることは避けるべきです。少なくとも100くらいまではスラスラと数えられなければ、計算は教えない方がよいと思います。数の概念を教えたり育てたりするには、いろいろなものをいろいろな方法で数えて遊ばせるのがよいでしょう。
おはじきや石ころを数えさせたり、いくつかのまとまりに分けて、あわせるとどうなるか数えさせてみたり、どちらが多いか比べさせたりしてみてください。3~5歳頃までの子どもでしたら、自分から進んで数を数える様になります。この時に、色や形で区別させて分類しながら数えてさせてみたり、カウントダウンの様に逆順で数えさせてみたりすると、数の概念以外にも様々なことを身につけてくれます。一人で遊び始めるまでは、大人が子どもと一緒に遊んであげる方がよい様です。中には「子どもが興味を持つまで待ってから、、、」などとお考えの方もいらっしゃるでしょうが、子どもたちは触ったことも見たこともないものに自分から興味を持つことはありません。始めのきっかけは大人が用意してやるしかないのです。待ってばかりいたのではタイミングを逃してしまいます。ものを数えることに興味や関心を持つのは幼いあいだだけです。7~8歳にもなってしまえば、ものを数えるだけではなかなか興味を持ってくれません。数の概念に興味を持たせるには、3~5歳頃に始めるのがもっとも良いタイミングなのです。そのタイミングを逃さないでやってください。

数の概念が身についているかどうか不安なときは

小学1~2年生になった頃に、まだ数の概念が充分には身についていないのではないか、と不安になることがあります。そんな子どもたちにも、ものを数える遊びは有効なのですが、幼い子どもほど食いつきはよくありません。

そんな時は、算数の文章題の取り組み方を変えてみるのがよいと思います。
算数に限らず子どもにものを教えるときに大切なことは、「正解」や「正しい考え方」を教え示してやることではありません。それよりももっと大切なことは、自分の力で「正解」や「正しい考え方」を見つけられる様に育ててやることです。算数の文章題を教えるときも同じです。いきなり大人が問題文を読んでその内容を説明してやったりしたら、子どもは自分で問題文を読まなくなってしまいます。実際に、「子どもが文章題が苦手で困っている」という親御さんの多くは、子どもに「解らせよう」として子どもの代わりに問題文を読んだり説明したりしてしまっているようです。大切なのは、子どもに自分で「読ませよう」とすることなのですから、代わりに読んでしまったのでは本末転倒になってしまいます。

子どもが算数の文章題が解らないで困っていたら、まず、子ども自身に問題文をしっかり音読させてみてください。うまく読めない様でしたら、スラスラ読めるくらいにまで練習させてください。ある程度スラスラと読める様になったら、問題文を2~3回音読させてみてください。そこで、一旦、問題文を隠し、どんな内容だったか聞き出しながら確認させます。「誰と誰がでてきたかな?」、「どんな花がさいてたかな?」、「何をもらったの?」、「食べたのはいくつ?」、「二つめのバス停で降りたのは何人?」、「何を答えればいいのかな」などなど。問題文の中に書かれていたヒントを覚えられないために問題が解けない子どもはけして少なくありません。全てを細かく確認する必要はありませんが、んな練習を繰り返すうちに、問題文の中のヒントを探し出す力や覚えたりする力も育ちます。こんな練習だけで、文章題を自分で解ける様になる子どもも少なくはありません。

問題文に書かれた内容をマンガの様な絵や図に書き表させてみるのもよい練習です。絵を描いているときに「食べたら増えるのかな?減るのかな?」、「男の子と女の子、どっちが多いのかな?」、「増えたら足し算かな?引き算かな?」、「比べるときは足し算かな?引き算かな?」などとヒントを出してあげるのもいいでしょう。この時には、「食べたから減るよね」、「女の子の方が多いでしょ」などとはけして言わないであげてください。「~かな?」などの様な問いかけをオープンクエスチョン、「~だよね」などの様な問いかけをクローズドクエスチョンと言います。オープンクエスチョンは子どもたちの考える力を伸ばしてくれますが、クローズドクエスチョンは逆に子どもたちの考える力を奪ってしまいます。(テレビショッピングや催眠商法でもクローズドクエスチョンが多用されるのも同じ理由です。)時折、子どもたちが質問されているのに、大人たちが子どもたちにクローズドクエスチョンを使って、「~だよね。」、「~でしょ」などと代弁している様子を見かけますが、これも子どもたちの考える力を削っているのと同じです。避けたいものです。

初めのうち、絵がうまく描けない様なら、大人が手伝ってあげてもよいと思います。ただ、大人が先走って全て書いてしまうのではなく、「はじめは白い花は何本だったっけ?」、「お菓子は最初、いくつだあったのかな?」などと子どもたちから聞き出しながら描くのがよいでしょう。はじめの絵が完成したら、「なんえんもらったのでしょうか?」、「いくつ食べましたか?」などと言いながら、最初の絵に書き足していきます。この時、最初の絵は黒だけで描き、書き足しは赤だけで描き加えるなどした方がわかりやすいようです。

数の概念は遊びなどの体験を通して身につける

幼い子どもに数の概念を説明して理解させるのは非常に難しいです。しかし、数を数える遊びや体験を通して数の概念を身につけさせることは、それほど難しいことではありません。特に、就学前は子どもたちがものを数えることに興味を持ちやすい時期です。その時期にいろいろなものを数えさせる体験をできるだけたくさんさせておきたいところです。

実は、子どもたちは競争が大好きです。「ここ来たことがある」、「この映画知ってる」、「階段の3段目から飛び降りられる」などと、すぐに自分の持てる能力を自慢したがります。これは豚の子どもが乳首を求めて競争したり、親鳥からエサをもらうために雛鳥が他の雛鳥より大きく口を開けようとしたりするのと同じことです。いわゆる本能ですから抑えることはできません。当然、幼稚園や子供園でも、もちろん小学校でも、似た様なことが起こります。「100まで数えられる」、「カタカナが読める」、「漢字を読める」などなど、大人から見たらたいしたことのないでも、子どもたちは自慢し合います。そんな自慢合戦の中で、自信をつけていく子どもも居れば、反対に自信を失っていってしまう子どももいます。幼いうちから数の概念を育ててあげることは、子どもたちの自信を育てることにもつながるのです。

 

 

タイトルとURLをコピーしました